(前回からの続きです。)
さて、ここまで見て、2階のカフェで一服するも良し。アクロポリスの実物を眺めながら、飲み物や軽食を楽しめます。バルコニーに出ると、眼前にそびえるパルテノン神殿は圧巻!この場所に博物館ができて、本当に良かったなと思います。ただ、夏は屋内の方が冷房がきいていて過ごしやすいです。お値段の方も、なかなかリーズナブルです。
そして、3階のパルテノン・ギャラリーでは、パルテノン神殿の内側を飾っていた東西南北のフリーズ(帯状浮き彫り彫刻)、外側フリーズのメトープ(浮き彫り額)、破風(東側正面と西側正面の三角形の屋根部分)に施された彫刻を、存分に鑑賞することができます。特に、東側内側フリーズのパンアテナイア祭の行列を描いた彫刻は有名で、チケットのデザインにも用いられています。
このギャラリーは、パルテノン神殿の模型のようになっていて、彫刻が、横に見える実際のパルテノン神殿と同じ方向・形・比率に配置され、実際の神殿のどこに、どの彫刻があったのかが分かるしかけになっています。フリーズの装飾は、ギリシャ古典期彫刻の極みと言われ、細部の表現力、躍動感、バランス、力強さ、ストーリー性など、人を惹き付けてやまない魅力にあふれています。
そして、この階には、全世界に向けて、ギリシャからの熱いメッセージがこめられています。彫刻の黄色っぽい部分は本物ですが、白い部分は複製で、わざと、その違いがはっきり分かるようになっています。そう、この白い部分は、実はイギリスの大英博物館に所蔵されているのです。ギリシャのトルコ統治時代に、コンスタンチノープルの英国大使であった当時のエルギン卿が、パルテノンの彫刻を破壊してイギリスに持ち帰ってしまったのです。ギリシャは、イギリスに対し今までずっと返還を迫ってきましたが拒否され、交渉はうまくいきませんでした。今回は特に強硬に、この素晴らしい新博物館オープンに際し、パルテノン彫刻(通称エルギン・マーブル)の返還を強く要求していたのですが、イギリス側は返還する気は全くないようで、「貸し出すのは可能。でも、その後は永遠にイギリスの所有とする」というような条件を出してきて、ギリシャ国民は大いに怒ったのでした。
私も実際に、一つの彫刻がギリシャ側とイギリス側に分断されていたりするのを目の当たりにして、とても心が痛みました。この新博物館オープンを機に世界的に注目され、世論が高まって、いつの日か、ギリシャの文化遺産が故郷に戻ることを願っています。
今年中は、できるだけ多くの方にギリシャの至宝を見て頂こうというわけで、入場料はたったの1ユーロ!是非、訪れてみて下さい。
アクロポリス博物館
場所: 15 Dionysiou Areopagitou St.
地下鉄 ライン2(赤ライン)「アクロポリ」駅下車すぐ
Tel: 210−9000901
入場料: 2009年中は1ユーロ
開館時間 : 8:00―20:00 (19:30最終入場)
休館日 : 月曜・祝祭日 (1/1 3/25 復活祭の日曜日 5/1 12/25 12/26)
公式HP:http://www.theacropolismuseum.gr
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