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ギリシャ妊娠出産体験記

ギリシャ妊娠・出産体験記 12)私立病院と公立病院比較

今日は、公立病院と私立病院の比較をしてみます。

 

まずは経済的な面を。ギリシャの価格体系には、とっても不思議なものが多いのですが、これもまたしかり。

私立I病院の料金は、自然(無痛)分娩、4泊5日、2003年当時で下記のとおり。

 

スイートルーム:9,120 ユーロ

デラックスルーム:5,640

1人部屋:4,240

2人部屋:2,930

3人部屋:2,090

4人部屋:1,530

6人部屋:1,320

 

私は4人部屋にいたのですが、なんと1日当たり300ユーロもする計算ですね。また、子供の黄疸治療のため3日延泊したので、それが1日あたり65ユーロ。その他、諸々の検査代や薬代なども追加で払いました。これは、病院側に支払う代金で、これとは別に、お医者さんと助産婦さんにはまた施術代を支払う必要があります。これがなんとも納得できないのですが、お医者さん側としては同じ仕事内容なのに、患者の選んだ部屋によって、料金がスライドするのです。まあ、ざっくり言うと、上記部屋代と同等額のお礼を、お医者さんにもしないといけないのです。他の先生にかかった知り合いもそう言ってましたから、そういう仕組みなのでしょう。要するに、お金のある人は、それなりに払ってくれ、ということなんでしょうね。

 

その前にも、定期健診のたびに30ユーロ払い、その他、血液検査、尿検査、羊水検査、薬などは別払いですから、結構な出費になりますよね。妊娠から出産までの病院費用を合計すると・・・だいたい、4000ユーロから5000ユーロの間ではないでしょうか。それに、ベビーベッドや服、家具、おむつ、ミルク、色んな赤ちゃん用品などをあわせると、6000ユーロは超える??本当に家計の一大事ですね。そのうち、うちの旦那の加入している保険で戻ってきたのは1750ユーロのみ。帝王切開だと、もっと出ると思いますが、これは定額なので、いくら自己負担しても、支給額は一緒です。加入保険によって、戻る額は違うのかもしれませんが、まあ、全然足りないわけです。

 

そういうわけで、そんなに裕福でもない我が家では、次女の妊娠が分かった時、今度は公立にしようかということになりました。1歳半しかはなれていないですから、結構、経済的負担がきついです。そして、人に紹介された先生を訪ね、公立のA病院で産むことに。こちらは、ふだんの定期健診も、昼間に行けば無料らしいですが、そうすると旦那が一緒に行けないのと、混雑しているのを待つのがいやで、時間外料金を払って夕方の診療に行くことにしました。これも、だいたい1回30ユーロ位です。

 

でも、こちらは病院代は二人部屋でも1泊120ユーロで、(多分、大部屋だと無料)先生へのお礼は900ユーロ、麻酔医へのお礼が100ユーロ(これは、病院とは全く関係ない個人契約の支払いです)で、合計2000ユーロちょっとで収まったと思います。羊水検査はオプションなので、これをしなければ、保険内でまかなえたかもしれません。ということで、大幅にコストダウンできたわけですが、やはり初産の人には薦められません。というのは、初産は時間がかかる上に、旦那の同伴が禁止ですから、とても不安だと思いますよ。二人目だったら、まあ、我慢できるかも(笑)。

 

その他、サービスの差は・・・私立I病院では(担当医によって異なるかもしれませんが)、夫が分娩室まで立ち会え、ビデオも撮れます。また、なんとも商業主義なのですが、赤ちゃんの生まれた直後の写真を何枚も撮られ、勝手に大きく引き伸ばしてあとで病室に売りに来るのです!プロが撮ったのですからもちろん上手に撮れているし、もちろん強制ではないのですが、買わなかったら捨てられちゃうのだろう・・と思ったら、全部買ってしまうのが親心・・・結局それに50ユーロ位払いましたね。また、色んな業者と提携しているのか、レンタル用品(体重計などは便利)や赤ちゃん用品の宣伝・紹介もあり、個人情報漏洩ともいえますが、退院後も、おむつや赤ちゃん用品のDMや割引クーポン、保育園のDMなどが自宅に届き、これも、まあ、うっとうしいこともありますが、役に立つ場合も多いです。まあ、いずれにしても商業主義なので、なんとかお金を取ろうという姿勢が見え隠れします。黄疸のせいで、退院も随分遅らせられたし・・・

 

その点、公立は、病院側も、こちら側も、早く退院するにこしたことはないと思っているので早く退散するに限ります。食事もまずいし、看護婦さんも怖いので、すぐ出たいと思うでしょうね(笑)。もちろん、私立のようなサービス、商品の紹介なども一切ありません。私立では、一応、退院の時に、赤ちゃんの世話の仕方(お風呂の入れ方など)も簡単に説明してくれましたが、公立では、後で・・と言ったきり、結局何も説明してくれずに、退院してしまいました。まあ、二人目だからいいけれど。

 

長くなってしまいましたが、「ギリシャ妊娠・出産体験記」シリーズは今回で終了です。書いていると色々思い出して、懐かしかったです。

 

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ギリシャ妊娠・出産体験記 11)次女出産(その2)

次女出産 その1)からの続きです。

 

まあ、そんなこんなで分娩室に行ったら、そこはまた煌々とライトがともり、まぶしいほど。その光にホコリの粒子が反射して見えています。掃除、ちゃんとしているのかしらと思ったほど。(まあ、うちもそうか・・・

 

ここで参ったのは・・・観客の人だかりです。良く、大学病院などの手術は、学生などの見学が来て見世物にされると聞いたことがありますが、ここも、廊下にたむろっていた若いスタッフがゾロゾロと入ってきて、のぞきこんでいるのが、広げた股の間から見えて・・・あーーーあ、とため息です。アジア人のはどんなのか・・という好奇心で見ているのかなあ、なんて思ったりして、でも、どうしようもありませんよね。早く生んで終わらせたいと思うだけです。そのスタッフたちが、「あーでもない、こーでもない」と言っているのが聞こえるのですが、詳しい内容は分からず、何か問題でもあるのかと不安になりました。でも、結局、そんなに時間もかからずに3−4回のいきみで生まれ、この歓迎されざる状況から解放されたのでした。私立病院の時は、産んだばかりの赤ちゃんを胸にのせてくれたりしましたが、ここでは、ちらっと見せてくれただけで、すぐに別室に連れ去られ・・産声が長女の時より大きいかなあ、ぐらいの感じしか分からなくて残念でした。まあ、とにかく鼻が詰まって呼吸困難、ヨガの呼吸法をやることもできず、いきむのが大変でしたが、安産で早く終わってくれたのが幸いでした。思えば、長女の時は陣痛が始まってから出産まで丸1日くらいかかったのに、次女の時は、陣痛もあまり感じることなく、入院して2時間くらいで産まれたのでしたー!この差は大きいですね。

 

そして、出産後の様子を見るために別室に2時間くらい放置されて、また凍えるはめに。1月でしたから空気は寒く、足がにゅっと出たままの手術着では、裸同然です。薄い毛布1枚では足りず、悪寒がし、何度も看護婦さんに「毛布を持ってきてください」と頼んだのに、「もうすぐ病室に移すから」といって、持ってきてくれないのです。あれも、今思えばイジメだったのかしらと思います。そのせいで風邪が悪化し、声も出ず、鼻が詰まり、入院中は本当に辛かったです。相部屋の人に迷惑なので、あまり思い切り鼻をかんだりもできず、赤ちゃんに風邪をうつしてもいけないと気を使い・・・

 

そして、公立の病院はやはりサービスがひどく、まあ、期待はしていなかったのですが、希望していた二人部屋が空かないといって(何かうそ臭い)別病棟に入れられたり、食事は空腹でもひどくまずいし、朝食なんて、ラスクと牛乳だけ。食べ物は、ほとんど、旦那に配達してもらいました。シャワー室のドアは閉まらないし、すぐ水浸しになるし。入院の持ち物も、「紙おむつ以外は全部」と言われて色々持ってきたのですが、赤ちゃん用のシーツは持ってこなかったので、看護婦さんに怒られたり。そんなの、何か、持ち物リストでも作って紙1枚渡せばすむことなのに、本当にオーガナイズされてないんだから!看護婦さんも、皆役所的で不親切。まず、笑顔を見せると損するみたいに皆仏頂面。早く、退院したいよー!とずっと思っていました。結局、3泊4日で最短退院できてよかったです。

 

まあ、色々不満が残りましたが、安いから仕方ありませんね。トータルにしたら、私立と比べ、何十万円の差です。公立で産めば、保険でカバーできるので、自己負担はほとんどありません。私立の時は、もともと高いのに、黄疸が出て3泊も延泊し、黄疸の検査代や薬代も嵩んで大変でした。同じ部屋の人が、私立はお金もうけのために、わざと延泊させるようにするのよ、とか言っていましたが、あながち嘘ではないかもしれません。

 

この辺の、私立・公立の比較論はまた次回に・・・

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ギリシャ妊娠・出産体験記 10)次女出産(その1)

1歳半はなれた次女の妊娠中は、長女の時の比べてとても快調でした!ほとんどなんのトラブルもなく、2004年のアテネオリンピックでアルバイトをしたり、もちろん観戦も10回位行ったし、日本に里帰りして温泉にも行ったりして、結構、ノーテンキに生活もエンジョイしていたのです。

 

2回目ということで、もう勝手も分かっていたので、節約のために今度は公立のA病院で産むことにしました。知人に紹介された先生はとても良い先生で、でも、前の先生が後期に毎回行っていた子宮収縮測定(この結果で、1ヶ月の安静を命じられた!)もとうとう一度もやらなかったし、なんだか、これでいいのかなあ、という感じでしたが、この先生は機械に頼らず、経験と勘で判断するような感じでした。ただ、体重管理はうるさかったです。公立の病院は混んでいるため、羊水検査の日程の都合がつかず、その検査は私立の病院で行うはめになりました。

 

診療所はセンターの方で、病院のすぐ横にあり、前の私立のところと比べると雲泥の差でしたが、まあ、古いけれど、汚いというほどではなかったです。ただ、予約制にもかかわらず、1時間位いつも待たされるのには閉口しました。最後の検診で、もう明日(予定日の10日前)には生まれると言われた時はびっくり。全然、自覚症状も気配もなかったのですが、もう子宮口が開き始めているといわれ、自宅待機に。2003年1月の冬の寒い日。日本倶楽部の新年会の日だったので、行けなくてちょっと残念でした。

 

そして、長女を義父母に預けに行き、自宅で陣痛を待っていたのですが、待てど暮らせど、それらしい痛みもなく・・・「どうしたんだろう、引っ込んじゃったのかしら」と心配になる始末。だって、長女の時は、もう痛くて痛くてのた打ち回っていたタイミングです。こんなに違うものなのかしらと不思議でした。とうとう、しびれを切らした先生の方から電話があり「ティ・エギネ?(一体どうしたんだ?)」と言われても、「だって痛くないんですもの。」という答えしかできず、「まあ、とりあえず病院に来て見なさい。」と指示があり、行ってみると・・・「すぐ、入院です。」と。その時点でも、陣痛は感じませんでした。私立病院では、陣痛室から分娩室まで旦那同伴OKだったけれど、公立は、たった一人ですべてに臨まなくてはなりません。心細かったですが、仕方ありません。初めての出産だったら、かなり不安だったと思います。問診のようなものも、旦那なしで一人で答えなければなりませんでした。

 

さてさて、まず、洋服を脱いで手術着に着替えるのですが・・・それがすごーーいボロキレのような代物で唖然。緑色で、アイロンもかかっていない年季物の囚人服みたいで、ところどころ穴があいていたり、ひもがとれていたり・・・同じ生地の上っ張りを看護婦さんやスタッフも着ていたのですが、破れたところをガムテープで止めていたりして、こちらもボロキレみたいでした(苦笑)。待たされる部屋も寒々しく質素で、背の高い私はその手術着では足がむき出しになってしまい、寒くて寒くて仕方ありませんでした。調度、タイミング悪く風邪を引いていて、ほとんど鼻で息ができない状態で、本当に苦しかったです。ここでも、もちろんプライバシーはないのですが、なんといっても気になったのは、インターンなのか、見習いなのか、若い男女のスタッフが廊下で大声で談笑していて、私は寒い部屋に置き去り。全然、注意を払ってもらえません。そうでなくても風邪で全然声が出ないところ、のどが渇いて水が飲みたいのに、叫んでも気づいてもらえず辛かったです。

 

途中、何回か先生も登場し、どの位進行しているかチェック。麻酔医の女医さんも連れてこられて挨拶。「私はいつでも廊下にいるから、痛くなったら呼んでね!」と愛想良く言ってくれたので安心していたら・・・それが大間違い。どんどん陣痛の痛みが強くなり、もう耐えられなくなってきて呼んでも、その麻酔医が見つからない。他のスタッフが携帯をかけたりして探しているのに、なぜか見つからない!!あの時の痛み、まあ、普通の自然分娩なら当然経験する痛みなのでしょうが、前にも書いたとおり、私は「超」がつくほど痛みに弱く、パニックになりがちな性格。長女出産の時の経験で麻酔をあてにしていたし、覚悟していなかっただけに、あの痛みは本当にこたえました。あの待っている時間は、途方もなく長く感じたのですが、多分10分か15分くらいだったかもしれません。まあ、普通はあんなに痛い思いをするのだという経験になりましたけど・・・2度とごめんです。そして、もう分娩室に移されようとする直前に麻酔医がのほほんとやってきて、「あら、随分早かったのね。」と。全く、いい加減にしてよ!!あとで旦那に文句を言ったら、「もしかしたら、事前にチップを渡さなかったから、意地悪をされたのかもしれない。」と言うので、そんなこと、知ってたならちゃんとチップ渡しといてよ!と怒りたくなる気持ちでした。続きは次回・・・

 

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ギリシャ妊娠・出産体験記 9)母乳の神秘

母乳は奥が深いです。

 

産んで2日目位になると、胸が張ってカチカチになってくるのです。早めにほぐして出さないと、石のようになってすぐ乳腺炎になるので大変です。母乳マッサージは、ギリシャでは丁寧には教えてくれないので、あらかじめ本でも読んでおく方が良いかもしれません。乳首マッサージなどをして乳管を開通させておかないと、せっかく母乳が湧いてきても詰まって出てこられません!

 

私の場合、長女は黄疸が出てしまったので、ずっと別室でライトを当てる光線療法を受けさせねばならず、大切な初乳があげられなかったのです。これは本当に残念なことでした。初乳というのは初めて出る母乳でかなり黄色い色をしているのですが、これが赤ちゃんに必要な免疫物質や栄養がパーフェクトに含まれた奇跡の飲み物なのです。これを搾乳機で搾乳し、捨てなければならなかった時の無念さは今も良く覚えています。絞ったものを哺乳瓶で与えたいと言っても許可されず、本当に悲しかったです。ホルモンバランスの影響もあったのでしょうね。感情が高ぶって泣いてしまい、皆に心配されましたっけ。後で、エステティシャンの友人から、初乳が美肌にすごく効果的なのだと聞いて、がっくり。もったいないことをしました。ちょっと味見をして捨ててしまったのですが、あれは全身に塗りたくれば良かったのですね。

 

母乳の量ですが、声を大にして言いたいのは・・・胸の大きさには関係ありませんよー!うちの旦那は「○○○(私の名前)は、母乳はあんまり出ないだろう」などと失礼なことを言ったので、「母乳は胸の大きさには関係ないんだ!」と反論したかったけれど、負け惜しみと思われるのもしゃくだったのでぐっとこらえ、実績を出そうと決めたのです。そしたら、泉のように湧き出る出る!周りのホルスタインさんたちは、全然出ないで悩んでいるのに、私は授乳できないのに胸が張って張って仕方がなく、年中搾乳機のお世話になっていました。これで、ちょっとは名誉回復できました!胸の大きい人は、乳が出口にまで到達する距離が長いので、詰まりやすいと読んだことがあります。

 

母乳の成分も、赤ちゃんの成長度合いによって、変化していくそうです。必要な栄養を必要な時に自然に分泌してくれるなんて、本当に母乳って神秘的です。赤ちゃんに吸わせるほど、良く出るようになるというのは常識ですが、赤ちゃんの泣き声を聞いても、それが刺激になって、母乳も分泌されるのだそうです。本当に、良くできてますねえ。ツーっと胸の中で母乳が走る感覚があり、「あ、来たぞ来たぞ!」と分かるのです。また、暖めると良く出るので、お風呂に入ったりすると、もうポタポタとたれてきて大変です。

 

味は、薄くてほんのり甘い感じ。結構おいしいですよ。でも、この味も、食べる物によって随分変わるそうです。一般的に、脂っこい洋食よりも、地味な和食の方が母乳には適しているそうです。赤ちゃんが泣いてぐずる時は、母乳がまずいことが原因なこともあるくらいです。ギリシャでは、スープを飲むと母乳の出が良くなると言われています。でも、あまり長期的にあげる人は少なく、大体、半年くらいで人工乳に切り替える人が多いようで、私もそうしました。でも、自分の体液をあげるということで、母性が育つ役割もあるのでしょうね。私は、授乳のたびに子供の生命力を肌で体感して、だんだん母になっていった気がします。

 

母乳の良い点は母親側にもあります。まず、安全・簡単・経済的です!哺乳瓶の消毒や温度調整も不要だし、特に、夜中の授乳はとにかく眠いので、いつもスタンバイOKの母乳は本当に便利!また、乳首を吸われることによって、広がった子宮が収縮し、母体の回復も早まり、元通りの体に戻る時間も早くなるわけです。いやー、本当に良くできてますね、人間の体って!やっぱり、神様がいなければ、できないですよ。こんなことは。

 

子供を妊娠・出産・育児する過程で、色々な奇跡を体験させてもらいました。

 

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ギリシャ妊娠・出産体験記 8)入院中のこと

ちょっと間があいてしまいましたが・・・まだ、このシリーズは終わったわけではないのです!今日は、長女を出産した後、私立病院での入院生活についてです。 hospital

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

病院は、私立でサービスも良いと評判のI病院。2004年に開かれたアテネオリンピックスタジアムのすぐ横です。私がいた時は調度オリンピックの1年前でしたが、まだ海の物とも山の物ともつかない「瓦礫の山」が病室の窓から見えました。部屋も綺麗で掃除婦さんが「これでもかー!」という位にいつもピカピカに掃除していたし、シーツも頻繁に変えてくれ、食事は午前、午後とおやつ付きで、食べきれないほどでした。味も、まあまあでしたね。スリッパもくれて、タオルも豊富、ホテルのように快適でしたよ。

 

出産後の回復は早かったですが、とにかく痛かったのが「局部」です。あれだけのものが出てきたわけですから、仕方ないですよね。今だに、3.5キロの赤ちゃんがここから出てきたということ(そして、元に戻っていること)が信じられない私です。

 

会陰と呼ばれる出口のところを出産の際にハサミでチョキンと切り(注:会陰切開は、出産のいきみで裂けたりすると回復が遅れるため、あらかじめ切って傷口を綺麗に治りやすくする方法です。)6針ほど縫ってあったのですが、そこがもう痛くて痛くて座れない・・・寝ている時はなんでもないのですが、トイレに行くと小の時はしみるし、大の時は傷が開きそうな気がしていきめないし・・・出血も随分続き、貧血気味の私は心配でした。椅子に座れなくて、お尻の片方をあげて、局部に体重がかからないように加減して斜めに座るという状態が一ヶ月ほど続きました。母に頼んで、真ん中に穴のあいているドーナツ型の円座を送ってもらい、それに座っていたんですよ。あれはいいです!

 

でも、ギリシャの女性は強いですよ。動いても良いというお医者さんの許可がおりるや否や、おもむろに活動開始です。産んだ次の日には病院の下にあるカフェにお茶しに行くは、着替えて近くの店まで遊びに行く人もいるは、ひっきりなしに見舞い客が来てワイワイと談笑するは、携帯電話でおしゃべりするは・・・で大変です。特に、病気で入院しているわけではないので、皆、明るく、見舞い客も手にお祝いを一杯持って、病室は花束やお菓子だらけ。ギリシャ人のこと、面会時間を守るわけがなく、4人部屋にいた私は、静寂が欲しいーーー!とずっと思っていました。それにしても、ギリシャ人の良くしゃべること、しゃべること!口から生まれた民族みたい。

 

まあ、うるさいのは100歩譲ったとしても、困るのが授乳の時です。この病院、施設は最高なのに、相部屋でも、個人のカーテンがないんです。これには、ちょっとたじろぎましたよ。産む時もそうでしたが、やっぱりプライバシーが全然ないんですよね。面会時間で来客があふれている時に、ちょっと着替えしたり、寝たり、搾乳したりしたい時ってあるじゃないですか。でも・・・カーテンがないので、丸見え。普段は母子別室で、授乳時間になると新生児室から赤ちゃんが運ばれてきます。さすがに授乳の時は来客禁止ですが、例によって家族(旦那さんとか)がそばにいたりするし、そこでおっぱいを出すのは恥ずかしい。なんたって、ギリシャ人女性の胸は、そうでなくても立派なのに、子供を生んだとたんに、またそれが1.5倍位になって、まるでホルスタインみたいに巨大になっちゃうんですから。なんだか、同じ人間とは思えない不気味さです。私みたいにささやかな胸の持ち主は、なんだか劣等感で。(それでも、多少は大きくなったんですけどね。)

 

でも、不思議なのは、産む前に見学に来た時は、そのカーテンがないことが気になって気になって仕方なく、病院を変えたいとか、ついたてを頼もうかとかマジメに思っていたのですが、あの壮絶なお産の後では、そんなことはちっぽけなことに思えて、「ま、いっか。」という風になったんですよ。やはり、子供を産むと女は強く(恥じらいがなく?)なっちゃうのかしら。

 

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ギリシャ妊娠・出産体験記 7)長女出産(その2)

ギリシャ妊娠・出産体験記の7回目です。

今日は、きのうの続きで、いよいよ、出産です!

 

無痛分娩・・・それは、本当に都合が良く、ありがたきもの。脊椎のまわりにある硬膜外腔というすきまに、背中から硬膜外麻酔を打ち、下半身麻酔で出産する方法だ。打って数分で下半身がジーンとしびれてくるが、陣痛が来て子宮が収縮し、固くなる感じは十分、分かる。その波に合わせて、いきみの波乗りサーフィンが始まる!

 

そのいきみ方法がすごい。陣痛室では、ベッド(最初は簡易ベッド)の両側にいる助産婦の腰に足を押しつけて、助産婦を思いっきり蹴りながらいきむのだ。助産婦の檄の飛ばし方がまたすごい。波が来るたびに、「今よ!」「もっと、もっと!」「やめないで!」「下に下に!」と大声で叱咤激励されながら頑張るのだが、前日夜から何も食べてないし、下半身はなんとなくしびれているし、力が入らない。息を止めていきむので、顔の血管が破裂しそうな感じがする。麻酔が切れ始めると、逐次足してくれるしくみになっているのでありがたい・・・

 

それにしても、こんな壮絶なこと、麻酔なしでやるなんて信じられない。陣痛の合間に待っている間も、血や汚物が垂れ流しになっている感じが分かって心配になる。こんなに出血して大丈夫かなあと。

 

入院したのが朝9時前、結局、いきんで、いきんで・・・やっと午後2時頃に赤ちゃんの頭が見えてから、分娩室に移された。助産婦から「髪の毛が黒いわよ!」と言われる。陣痛室では診察時以外は夫同伴OK。分娩に立ち会うのはいやだと言っていた旦那も、「旦那さん、こっち、こっち!」と呼ばれるがままに、成り行きで分娩室に連れ込まれてしまった。あらら、卒倒しないといいけれど・・この私立I病院では、ビデオも撮っていいことになっていたが(公立は不可だった)、旦那は持ってきたビデオをどこかに預けてしまっていて、撮れなかったのが今思えば残念。

 

分娩室は煌々とライトがともったスタジオの様。光が無機質な機械類に反射してまぶしい。ここで、いきみやすいハンドルや足置きがある分娩台に乗せられ(やっぱりいきみやすいわー!)、陣痛波乗りサーフィン(いきみ)を何度も続けながら、だんだん胎児が下に降りて来る。一回の波が過ぎて、赤ちゃんが出てこないと、一同ちょっとがっかりした雰囲気になって、次の陣痛の波を待つ。その間、結構自由な雑談・・・

 

初産だから、時間がかかる。これを何度続けただろうか。もうダメ・・と力尽きそうになった時、はさみで会陰(出口のところ)をチョキンと切る音がして、にゅるりという感触で赤ちゃんが出てきた!おぎゃーと2回ほど泣いて、股の間から、医者が赤ちゃんを上の方にかかげ、私に見せてくれた。無我夢中であまり覚えていないのだが、私とつながっていた臍の緒がやけに太くて紫色で、縄のようだったのが印象に残っている。感動の涙か・・・と想像していたが、そのときは、やっと終わった、無事に生まれてホッとしたという気持ちが強かった。数分後に胎盤排出、そして、切った会陰をチクチクと縫合した。でも、無痛分娩のお陰で、全然痛くない!良かったーーー!本当に画期的だわ!

 

助産婦が、「手足が大きいから、大きくなるわね!」とか「目がお母さんそっくり。キネザキ(中国人の女の子)だわ」とか、勝手なことを言っている。(アジア人は、皆、中国人にされてしまう・・)

 

陣痛から約16時間、体重3.5キロ、身長50センチの女の子の誕生であった。ざっと洗ったあと、赤ちゃんを胸の上にのせてくれたが、ずっしりと重い。こんなものを良く毎日持ち歩いたなあと不思議に思う。あとで、排出された胎盤も見せてもらったが、結構大きいレバーのような、赤黒くてグロテスクな代物だが、今まで赤ちゃんを守ってくれた大切なもの、ご苦労様という感謝の気持ちだった。

 

その後、2時間くらい出血の様子を見るために、出産を終えた妊婦たちの待機室に移されたが・・・それがなんと20人くらいの大部屋(タコ部屋?)で。ここでも、プライバシーはゼロ。診察も丸見え!本当に大量生産工場だ。皆、病室に移されるのが遅れて文句を言っている。きっと夏でスタッフが足りないのだろうな・・・私は、今までの痛みが嘘のように楽になってルンルン。早く、赤ちゃんと旦那に会いたいなー、と思っていた。

 

あとで、医者や助産婦に「シネルガティキ(協力的)」で良い妊婦だったと褒められた!ギリシャ人妊婦だとこうはいかない・・のだそうだ。ふーーん、ギリシャ人妊婦は協力的じゃないのか、なるほど。妙に納得。

 

とにかく、こんな感じで、異国での不安な長女の出産は無事に終えられて、こんなノーテンキに回想録など書いていられる現在に感謝です!

 

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ギリシャ妊娠・出産体験記 6)長女出産(その1)

ギリシャ妊娠・出産体験記の6回目です。

 

随分、思ったより長い連載になってしまいました。今日はやっと、クライマックスの長女出産の時の回想です!

 

2003年の8月。予定日の前の日に検診に行くと、出産も間もなくですと予告され、予定日を過ぎたらすぐ切ります(!)と宣告されていた帝王切開を、ギリギリのところで免れて本当にラッキー!そして、ドキドキワクワク・・予定日には、旦那に会社を休んでもらってスタンバイ。入院用のかばんは、もう1ヶ月も前から用意してあり、あとは時計を片手に、陣痛間隔と陣痛の長さを測るだけ。ごはんを食べたり、出産の流れや呼吸法を本で再確認したりして、まったくもって落ち着かない。陣痛間隔が10分位?(これ、正確に覚えてないんです・・)になったら病院に来るようにと言われていて、でも、初産で不安なのでちょっと早目に、夜10時頃病院に行き内診すると、子宮口がまだ2センチしか開いていないというので、いったん家に帰された・・・がっくり。タクシーで30分以上かかる道のりなのに!

 

その晩、隣でグーグー寝ている夫をうらめしく思いながら、陣痛間隔を測るために時計を片手にしながら、陣痛の痛みに七転八倒。もう耐えられない!(注:私は人一倍、痛みに弱い)やっと朝が来て、無線タクシーを呼んでもらおうと思ったら、今度は夏休みモードで全然タクシーがつかまらない!!あー、どうしよう、タクシーがつかまらなくて家で産気づいたら!タクシーの中で生まれたら!と旦那とともにパニック状態になった。仕方なく、流しのタクシーを旦那が探しに走り、私はアパートの前でうずくまって、うなりながら待っていた。

こういう時、旦那ってあんまり頼りにならない。「我慢して!」って言われたって、こっちはこんなに痛いんだからーーー、と泣きたい気分。そしたら、アパートの一階の足の悪いおばあさんが、家の中から椅子を持ってきて座らせてくれ、その優しさに感動・・・

 

やっとのことでタクシーをつかまえ、病院にかけつけ、即入院。でも病院に入ると、もうそこは、「妊婦にプライバシーや人権はないのか!」と叫びたくなるような状態。「赤ちゃん大量生産工場」みたい。ドアを開け放ったままで(廊下から丸見え!ついたてもあったが機能していない)、いきなり剃毛と浣腸。これが、なんの予告もなしにいきなりやられるので驚く。普通、「これから〜しますよ。」とか言いません??これでも、私立のいい病院なんですよ。(設備はいいけど配慮が・・・?)子宮口の開き具合を内診(これもいきなり!)すると、5センチ。この子宮口の開き具合を診察されるのが、また痛くて。この、グルグル指を入れてかき回すようにする診察を、出産まで何度繰り返したことか。思い出してもぞっとする。そうそう、お医者さんは、最後までほとんど登場しなくて、その間、助産婦さんがすべてそういう診察をするのですが、それが大層荒っぽい(涙)。まあ、1日に何十人も面倒見るわけだから、いちいち気を使ってもいられないのかもしれないけれど、あんまりだ!

 

だいたい、ここから10センチ以上の赤ちゃんの頭が出てくるとは到底考えられない。ある人が、「鼻から地球を出すくらい痛い」と言っていたのを思い出し、恐怖におののく。陣痛室に移されると、そこでは数人の妊婦がうめき声をあげている。陣痛監視装置をお腹につけられ、グラフで陣痛間隔と長さ、胎児の心音をチェックしながら子宮口が10センチ開くまで待つ。ああ、あの時の恐怖感といったら、人生最大のものだった。麻酔をしなかった(破水して間に合わなかった)他の妊婦の引き裂かれるような断末魔の叫びは、今も耳に残っている。ホラー映画よりもずっと怖い。次は我が身・・・と思うと手足が冷たくなり、歯がガチガチなって震えが止まらなくなった。あんな経験は、後にも先にもあの時だけ。

 

初めは、なるだけ自然な出産を・・・と望んでいたにも関わらず、助産婦から「麻酔しますか?ここでは8割の人がするんだから心配ないわよ。後でしてといわれても、手遅れよ。」と言われ、情けなくも「早くお願いします」と懇願してしまった!多少挫折感はあったが、痛みに弱い私にとっては、それが最良の選択だった、ホント。あの時点であの痛み・・・それから後の、クライマックスの出産、会陰切開、縫合などを麻酔なしでやったら、もう、気絶していたかも。自然分娩で子供を産んだ人、すべて尊敬・・・(母に言うと、大げさねえ、と言われるが)

 

長くなってしまったので、次回は出産の様子を詳細に!

 

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ギリシャ妊娠・出産体験記 5)出産への準備―胎教とヨガ

今日は、ギリシャ妊娠・出産体験記の5回目です。

出産準備としての胎教、ヨガについてです。

 

<胎教>

胎教は、本当に重要だと思います。「胎児はみんな天才だという本を読んで、その可能性に度肝を抜かれました。胎児って皆、ものすごい可能性と天才的能力があるんですよ。でも、知識として知っているのと、何かを継続して実践するのとは、全然違うレベル。私がやったことは、クラシック音楽や童謡を聞かせたり、胎児に話しかけたり、その程度がやっと。この本の著者は、アメリカ人と結婚した普通の日本女性ですが、その毎日の日課と努力はとても真似できるものではありません。結果的に、4人の子供全員が天才と呼ばれ、素晴らしい才能を発揮しているわけですが、基本は「愛情」なので、単なる英才教育とは違います。興味のある方は、読んでみてくださいね。

 

普段からあまり口数の多くない(と自分では思っている)私は、胎児に語り掛ける・・・というのがまず至難の業で。こういうのは、ギリシャ女性はうまそうです。(本当に多弁ですから・・・)ただ、母親の気持ちが一心同体の胎児に伝わるというのは信じていて、これから生まれる赤ちゃんに愛情を注ぎ、自分の気分を良い状態に保つのが一番の胎教だと考えています。でも、これが結構難しかったんですよ。前に書いたような色んな危機があったり、やはり海外での出産ということで、不安がつのったりして、精神不安定になりがちだったので。

そこで役立ったのが次に書くヨガです。

 

<マタニティーヨガ>

妊娠前から通っていたヨガの教室。マタニティーヨガのクラスもあったので、妊娠とともにそちらに移り、週2回やっていました。ヨガは、今、日本ですごいブームみたいですが、私は、10年以上も前、第一次ブームがあった時からボチボチやっていて、「頑張らない」姿勢、精神性、自然との調和、心身のバランスを大切にするのが気に入っていました。とかく、ジムとかスポーツは、他者との比較、競争などがあって、かえってストレスになりがちですが、ヨガなら、純粋に自分の健康・美容・幸せのために、マイペースで続けられるのが良いのです。今は行く時間もないし、教室が遠くに移ってしまったので残念ですが。

 

ヨガ教室のサイト:http://www.satyanandashram.gr/index.htm

 

ギリシャのヨガの先生。やっぱり、フツーのギリシャ人と違うんですよ。なんというか、あの包容力、吸い込まれるような目の優しさ、穏やかさと慈愛・・・本当に、どの先生も大好きでした。お香をたいて花を生けた薄暗い教室で、穏やかな音楽を聞きながら、股関節を柔らかくするポーズ(私は体が超固い!)や、呼吸法、瞑想、リラックス法などを学び(といってもほとんど忘れてしまった・・)、とても静かで豊かな時間でした。特に、先生の言葉で印象に残っているのが、「子供は、母親を選んで生まれてくる。子供の魂は、いつも天上から自分に最適な母親を探していて、見つけると降りてきて、そのお腹の中に宿る。」という、ある意味ショッキングな言葉。私は、この娘たちに選ばれて母になったのだなあ、と思うと、感慨深いものがあります。そして、こんな私を選んでくれて、ありがとうという気持ちになります。

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ギリシャ妊娠・出産体験記 4)妊娠中のあれこれ

今日は、ギリシャ妊娠・出産体験記の4回目です。

羊水検査と、つわり、食事についての雑記です。

 

羊水検査

羊水検査は、高齢出産だったので、先生の薦めにより行いました。これは、できる時期が限られているため、早めの決断が必要です。ダウン症や性別などが羊水から判定できる検査ですが、危険も伴います。お腹に太い注射針をブスっと刺して(不思議と痛くなかったです)、中から羊水を吸い取るわけですが、このショックにより早産になったり、感染症になったりする恐れも稀にですがあると聞きます。ダウン症は、高齢になると圧倒的に確率が増加しますが、仮にそうだと判明したからと言って、生むのをやめるわけでもないし、治療できるわけでもないし、仕方ないのに・・・とも思いましたが、旦那の希望もあり、性別も正確に知りたかったので行いました。

でも、考えてみればすごいですよね。羊水内に浮いている赤ちゃんの細胞の破片みたいなものから、すべてが分かってしまうのですから・・・本当にすごい技術です。ギリシャでは、通常、この検査はオプションで、希望者のみ行います。費用は、6−7万円くらいだったと思います。

 

つわりと食事

私は、妊娠1度目も2度目も「つわり」がなかったんですよ。良くドラマで、うっと吐き気がしてトイレにかけこみ、妊娠を知る・・・なーんて場面が良くありますが、そんなの全然!人によっては、出産直前まで気持ち悪い状態が続く人もいるらしく、私は恵まれていました。その分、体重管理には気を使いました。ギリシャでも、やはり過度の体重増加は妊娠中毒症や難産の原因になるとかで、10キロ位が良いと言われていました。でも、そんなので収まっている人って、ほとんどいないと思いますけれど・・・私は結局、2度とも、11キロ位の増加で、まあまあの出来だったと思います。つわりは、母体が胎児にとって良くないものを本能的に体外に出し、危険を避ける働きだと書いてある本もありました。なるほど、と思いながら、私の場合は、子供に許容量があったのか、私が鈍感だったのか・・・と複雑な思いでした。

 

私は、つわりがなかっただけでなく、食欲が旺盛すぎて、夜中にお腹がすいて眠れなかったのです。いつも夜中の3時頃に起きだしては、キッチンでゴソゴソと4度目の食事をしていました。良く、食べ物の好みが変るとか言いますが、やっぱり、酸っぱいものはおいしく感じたし、わかめの酢の物を良く食べていました。とにかく、妊娠中はすべてが胎児優先なので、カルシウムなど、不足すると骨から溶け出してしまうんですから大変です。骨粗しょう症の原因になってしまいます!ひじき、しらす、納豆、こうや豆腐、切り干し大根、など、日本には本当に手軽で栄養的に優れた食品がたくさんありますよね。ギリシャでは・・・義母が良く、揚げレバーや、滋養豊かなチキンと野菜のスープを作ってくれました。妊婦は食べ過ぎてはいけない、でも、必要な栄養素は取らなければ、あとでつけが自分に回ってくるので注意が必要です。ビタミン剤とカルシウム剤は毎日飲んでいました。

 

まさに、妊娠・出産は体を張っての仕事です。授乳の時も良く思いましたが、女性は、大地のように与える性なんだなあという感じがしています。

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ギリシャ妊娠・出産体験記 3)妊娠中の危機

今日は、妊娠・出産体験記の3回目。

妊娠中に起こったトラブルについてお話します。

 

腹下しの危機

長女を妊娠中、最初のトラブル・・・・それは、ある時お腹の調子が悪くなって原因不明の下痢が何日も続き、一気に2キロもやせてしまい、体力も気力も衰えてフラフラになってしまったこと。

 

赤ちゃんや自分のための栄養もとれないし、気分的にも落ち込み、心配しました。妊娠中は薬が飲めないので、自然治癒を待つしかないので大変です。内科医に行っても、「コカコーラに塩を入れて飲むといい」とか言われて目が点になり(結局やりませんでしたが、本当に効くのでしょうか?)、薬を処方はしてくれたものの、妊婦に安全かどうかは産婦人科の担当医に相談・確認してくれという無責任さ。担当の産婦人科医に聞くと、それは安全とは言い切れない、という返事で、結局、飲むことは断念。色んな下痢止めの薬を買って説明書を読んでみたけれど、妊婦に安全とは書いていない

 

でも、ここで登場した救世主は、たまたま家にあった、ドイツの「Kohle-Compretten」という薬。旦那が愛用している薬で、墨が原料である真っ黒な錠剤です。薬の説明書を読んでみると・・・なんとこれだけは、「妊婦にも安全」とはっきり書いてあり、感激!!そして、この薬、本当に良く効くので、妊婦でなくてもお勧めです。ギリシャでは売っていないと思うので、ドイツに行ったら買っておくといいと思います。トランジットでも空港で買えます。類似の薬もきっとあるのでしょうけれど・・・これには本当に救われました。2錠飲んだら、ピタッと止まりましたよ!ただし、これを飲んだ後、便も真っ黒になるので、びっくりしないように・・・

 

早産の危機

妊娠後期になると、定期健診のたびに子宮収縮頻度測定器をお腹につけて、30分もじっとしていなくてはなりませんでした。収縮の頻度・間隔によって、出産がどれくらい近いかを判断するのです。(出産は、この子宮の収縮によって赤ちゃんを外に押し出すメカニズムです。この収縮の際の痛みが陣痛と呼ばれるものです。)

 

この後期で、ちょっとハプニングが!妊娠7ヶ月くらいの時、通常より子宮の収縮頻度が多すぎる(間隔が短い)と言われ、突然、自宅安静を命じられ唖然。だって、自覚症状は何もないのですよ。いたって順調、元気元気!ただ、足のむくみだけはひどくて、手持ちの靴がなんにもはけない、ひどい象足になっていたけれど。動くと、早産になって未熟児が生まれるリスクが高いので、少しでも出産時期を遅らせるために、家事はダメ、重いものはもちろん持ったらダメ、疲れるのもだめ、ストレスもダメ、長距離歩くのもダメ。要するに、食事とトイレとお風呂以外はベッドにいなさいという命令が!調度、仕事が入っていたので、それだけはなんとか終わらせ、あとは寝たきり妊婦・・・毎日子宮収縮抑制剤を飲んで、元気なのにベッドでの生活。あーーー、苦痛!なんて暇で退屈!!でも、この時ほど、旦那に感謝したことはありません。2ヶ月近く、家事は一切旦那任せ。でも、彼は文句も言わず、毎日仕事から戻って、料理を作って食べさせてくれました。でも、サラダばっかりで、ちょっと辛かったな・・・

 

帝王切開の危機

予定日の1ヶ月前になれば、胎児も十分に大きくなっていつ生まれてもOKなので、寝たきり生活から解放されたものの、しかし!

いつでもカモン!と待ち構えていたのに、今度は予定日近くなっても陣痛の兆候がなくて、また心配の種が。ヤキモキしている周囲からは「まだか、まだか」とプレッシャーをかけられ、階段の上り下りがいいとか、スイカを持つといいとか、色んな珍アドバイスを受けて、やってみたり・・・・

 

噂には聞いていましたが、こちらの先生は、いとも簡単に帝王切開をしてしまうらしく、妊婦側も、その方が予定が立つし、産みの苦しみを味わわなくてすむから(産んだ後はしっかり痛いそうですが)と望む人もいるらしい。それに保険金もおりるし!でも、私は「ハラキリ」はしたくなかったので、焦りまくり。でも先生は・・・・

予定日を1日でも過ぎたら切ります。」と無慈悲な最後通牒。

 

確かに、予定日を大幅に超過すると子宮内環境が悪化し、赤ちゃんにも悪影響を与えるのは知っていたけれど、なんだか怪しい香りが。友人から良く聞いていたのです。夏休み近くは、医者の都合で皆、帝王切開にさせられてしまう・・・と。確かに、長女の予定日は8月初旬で、ちょっと遅れると夏休み真っ盛りの時期に突入してしまう。ある人が産院に見舞いに行ったところ、その日に産まれたという赤ちゃんは皆、未熟児同然に小さく、あれは皆医者の都合で帝王切開で早めに産ませられたのだと文句を言っていました。真偽の程は分かりませんが、ここはギリシャ。あり得ないことではありません。でも、帝王切開歓迎の風潮もあり、私が色んな人にその話をすると、「あれの方が赤ちゃんも苦しまなくてすむからいいのよ。」なんていう人もいたりして、人それぞれだなあと思ってしまいました。

 

赤ちゃんには母親の気持ちが伝わると本で読んでいたので、毎日、お腹の子に予定日前に生まれるようにお願いしたところ・・・・結局、8月の予定日当日の夜に陣痛が来て、入院。その次の日に無事生まれたのでした!!!

なんというギリギリのタイミング!さすが、半分、ギリシャ人の娘です。いや、それとも、私の方がギリシャ化したのか・・・

(ギリシャ人は、なんでもギリギリの間際にならないと動かない、と言われています。アテネオリンピックで証明済みですね。)

 

まあ、色々ありましたが、無事に出産にこぎつけて、ほっとしました。

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ギリシャ妊娠・出産体験記 2)ギリシャの出産事情

ギリシャも少子化社会で、子供はとても大切にされます。また、子供好きな人が本当に多く、赤ちゃんを見ると寄ってきて、あやしたり、かわいがったりしてくれる人が多いのに驚きます。また、家族・親戚ぐるみで育児も協力しあうので、子供を生み育てるのには良い環境かもしれません。

 

関連記事:「妊婦・子供に優しいギリシャ

 

ただ、こちらの公立病院はひどい、という噂を聞いていたので、初産でもあるし、高齢出産でもあるし、費用はかさむけれど、最初はホテルさながらの私立病院で生むことにしました。次女は公立で生んだので、その差に唖然。どのように「ひどい」のかは、また後日書きますね。

 

お医者さんは、義姉の知人であるソティリス先生。担当助産婦さんはエレフセリアさんで、これはなかなか縁起の良い名前。ソティリスというのは、「人を救う」という意味があり、エレフセリアというのは、「自由」という意味です。この先生には、妊娠するまでも随分お世話になり、実際に私の手術をしてくれた人でもあります。ギリシャでは、「無事のご出産を」の意味で「カリ・エレフセリア!」と良く言いますが、色々制約の多い不自由な妊娠生活から解放され自由になるという意味合いで、実感がありますね。でも、私が「自由」になるまでには、色々な危機があったのです。(この危機については次回に・・・)

 

こちらでは、産婦人科の先生は、イアトリオといわれる自分の診療所を持っていますが、そこは診察だけで、実際に産むときは、契約病院の施設を借りて、そこで出産となります。ふだんの定期健診は、その診療所に行くわけですが、まず、待合室に入って驚くのは、ほとんどの場合、皆さん夫婦同伴で来るということ。日本の場合、妻の定期健診に夫が会社を休んでつきそう・・・なんて、ほとんどないですよね?夫婦で出産に臨むって感じで、なんかいいなあ、と思いました。皆がそうやっていれば、それが当然、という常識になるじゃないですか。

 

そして、妊婦さんは、ハイヒールをはいていたり、夏だと素足だったり、おへそを出していたりして、結構自由でびっくり。妊婦服を買わずに、旦那さんの洋服や大き目な普通服で済ます人も多いらしいです。私はワンピースの妊婦服が好きなのですが、そういう服はほとんど売っていなくて、日本から送ってもらったり、LLサイズのウェストのないワンピースで代用したりしました。こちらではサロペットやパンツスタイルの妊婦ばかり見かけます。どうしてなんでしょうね??

 

母親学級とか生活指導もないので、結構不安でした。そういう、親切というか、至れり尽くせり(ある意味、お節介?)のシステムは日本的だなあと実感する次第です。

 

私は日本の出産本を5冊位持っていて熟読していたのですが、日本とギリシャでは色々な違いが。妊娠週の数え方も違うので、紛らわしかったです。それから、最初の診察だけは内診しましたが、それから出産まで、なんと1回も内診がありませんでした。日本の本を読むと、体験談で、「内診が痛くて嫌だった・・・」とか書いてあったので恐れていたのですが、本当にやらなくていいの?って感じで。その代わり、お腹の触診と超音波の診断、時々血液検査をし、超音波の子宮内写真だけは毎回くれました。はじめは芥子粒みたいだった子供が、おたまじゃくしみたいになり、だんだん人間らしくなって、体の手足や細かいところが見えたり、心臓の音がはっきり聞こえるようになると、その進化の奇跡に驚きながら、本当に愛着が湧いてくるものです。

 

出産方法としては、日本では「自然が一番で、この生みの苦しみに耐えなければ一人前の母とはいえない」みたいな精神論があるように思うのですが、こちらでは帝王切開や無痛分娩がほとんどで、自然分娩を選ぶ人は少数派です。私は、人一倍痛みに弱いので、無痛分娩で生めて、本当にラッキーでした。入院期間は4-5日が普通で、日本より短いですよね。

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ギリシャ妊娠・出産体験記 1)妊娠まで

季節が変ると、気分も変って、ちょっと内省的になる今日この頃。昔のことなどをつらつらと思い出したりしています。最近、あまりにも記憶力が下降線なので、切な財産・貴重な体験である妊娠・出産時期のことを忘れないように、思い出してちょっと書いてみようかという気になりました。

 

私がギリシャに来て一番良かった事は、子供を授かったこと。ギリシャと関係ない?いえいえ、大ありなんです。

 

6年前にギリシャに来るまでは、私は日本でかなりハードな仕事をしていて、ストレスも多く、付き合いも多く、夜終電で帰ることも多い毎日でした。そんな生活をしていては、仮に今の旦那と日本で暮らしていても、子供は授からなかっただろうな・・・とほぼ確信しています。結婚が遅かったので、それだけでも妊娠率が下がるのに、ストレスは一番の敵です。

 

もともと子供は苦手で、別にいなくてもいいやと思っていたのに、年齢的なタイムリミットが近づくと人間って変るものです。結婚して2年たっても子供ができなくて焦りだし、エクセルで表を作って基礎体温を毎日つけたり、色んな本を読んだり、良いといわれることは試したり、私も旦那も病院に行き不妊症チェックなどを色々し、ちょっとした手術や治療もしました。排卵日を調べる方法を友達から聞いて、やってみたけれど、これは最後まで良く分からなかったです・・・ちょっとキワドイ話ですが、なんでも、排卵日になると、子宮口の形や感触が変るのだそうですよ。それを膣から指を入れて調べるのです!でも、幸運にも、間もなく良い結果が出ました。自分で尿をかけて調べる妊娠検査薬が陽性になり、妊娠が分かった時は本当に嬉しかったです。

 

私がギリシャで受けた手術の内容は、子宮内のポリープ切除です。子宮内にデコボコがあると受精卵の着床率が下がるので、それを取って子宮壁面を平らにし、妊娠率を大幅にアップさせるものでした。この手術、全身麻酔ですが、ファイバースコープみたいなものを下から入れるので、開腹の必要もないし、痛くもかゆくもないし、手術後の出血も痛みもないのです。本当にやったの?という位で。後で、病院から手術風景のビデオをもらってびっくりしましたが、私は怖がりなので見ていません(苦笑)。

 

ヨガの教室に通い心身のバランスを調整し、イメージトレーニングも良いと聞いたので、やっていました。夢はできるだけ具体的に、映像にできるくらいに詳しくイメージすると実現しやすいというので、友達の赤ちゃんを借りて抱っこした写真をとり、それと一緒に「いつまでに子供を産む」という目標をマジックで大きく書いて、その紙を毎日見て念じていたのです!

 

あとで日本の友達と話して思ったのですが、日本は不妊カップルが多いのに、男性側のチェックが甘いらしい・・・。男の沽券に関わる、とかいうのがあるのでしょうか?ギリシャでは、また違うストレスは色々あったものの、仕事もそんなに忙しくないし、後悔しないように、旦那と協力してできる限りのことができて、その結果、幸運にも二人子供を授かったので、それだけでも、ギリシャに来た甲斐があったな、と思って感謝しているのです。 

これからも、ギリシャの妊娠・出産体験記、思い出しては、時々書いていきますね。

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