2月19日(日)
引越しの前日は朝からパッキング作業。
腕の太さが私の腿くらいありそうな屈強のマッチョ青年が4人、慣れた手つきでどんどん仕事をこなしていく。まるで、ギリシャ彫刻のような肉体!ちょっとドキドキしたりして。
大切なもの、高いもの、下着など触られたくない物は、事前にダンボールとガムテープを届けてもらい、自分でパッキングしたり、手で運んだりしていたが、際限なく物が出てくる出てくる。
一体、どこにこんなに収まっていたのか!ダンボールを置く場所がなくなり、呆然とする。子供は義父母に預け、朝から晩まで・・・真夏だったので、皆汗だく。私も、梱包の指示や掃除などでクタクタ。
食器などの割れ物は、思ったより丁寧に紙で一つ一つ包んで、食器専用の頑丈な木箱に入れてくれ、洋服なども、ハンガーごとかけられる(しわにならない)タンスみたいな専用木箱に入れてくれる。
結構大胆なのは、引き出しが5段ついたタンスは、中身を出さず、そのままグルグルと特大サランラップのようなもので巻くだけ。あと、細々した割れ物でない物は、特大ビニール袋にザバッと投げ込みガムテープで止めるだけ。どう見ても、ゴミだよ、これ。日本ではあり得ない芸当だ。あと、靴箱などもまとめてグルグルとガムテープで止める。(あとで取るのが大変!)でも、家具やオーディオなどは、結構気を使って毛布でくるんで傷を防いだり、エアパッキンで包んで「取り扱い注意」のシールをはったり、ダンボールには内容物をマジックで書いたり、まあ、要所要所は押さえている。
引越し当日は、前の通りを一時通行止めにする許可証をもらっておいた。そうしないと、引越しのトラックが狭い道をふさぎ、大変な騒ぎになるからだ。他の車のクラクションの嵐、喧嘩、警察への通報・・・今までも何度も目にしたことがある。ああ恐ろしや。
残った大物の梱包をすませ、うちは4階だったので、はしご車のような車で物を運搬。ダブルベッド位の大きな台に物をのせ、伸縮するはしごで、エスカレーター式に台を上下させながら、ベランダから物を下におろした。
これもなかなかテクニックがいる。台には柵がないので、重さのバランスが取れていないと傾いて、物が落っこちないかとヒヤヒヤだ。ベランダの柵をこえてその台に乗せるのだが、大きくて重い家具など、ベランダの日よけテントの支柱やジャングルのように茂った植木などが邪魔をして、容易には乗せられない。
早朝から始め、4時頃には終わると言われていたが、とんでもない、物が多すぎるのと、色々アクシデントもあってはかどらず、永遠に終わらないかとも思われた。
ギリシャでは、アクシデントがない方が不思議かもしれないが、この日のアクシデントにはかなりビビッタ。引越し業者のボスであり、トラックの運転手でもあった人の鍵が引越し作業中に行方不明になってしまったのだ!!
そのキーホルダーには、会社、倉庫、家、トラック、などすべての鍵がついており、それがないと、追加のダンボールや梱包材も持って来られず、もちろんトラックは動かせず、「この引越しは一体どうなってしまうのだろう??半分荷物を積んだトラックをレッカー移動??そしてまた別の日にやるの?」と本当に、真っ青になった・・・・
でも、私だけ、おろおろして、他の人は、結構平然としていた。「そのうち見つかるよ」と。なんだ、その根拠なき楽観主義は?そして、作業は進めながらも、あっちこっち探して探して、でも、どこかのダンボールの中に紛れこんでいたら、もうどうしようもないし、だいたい、こんなぐちゃぐちゃの混乱状態の中で見つかるわけない・・・
そして時は過ぎ・・・・
でも、ある時、私の中にピカッと閃くものがあり、いつも旦那が細かいものを入れる黒いポーチの中をチェックしてみた。そしたら、大正解。「あったーーーーーー!!」本当に嬉しかった。どうやら、買い物のために外出する前に、旦那がその辺においてあった鍵を見て、自分の大切なものだと勘違いし、なくならないようにポーチの中に入れたらしい。何と人騒がせな!大事な物をその辺に置く方も置く方だが、それを間違ってしまう方もしまう方だ!この奇跡的な神の啓示がなかったら、どうするつもりだったんだ!!!(怒)
でも、とりあえず一件落着・・・そして、荷物を全部下に降ろし、2台のトラックに積み込んでいったが・・・今度は物が多すぎて乗り切らない!仕方なく、ベランダの鉢植えとガーデンセット(テーブルと椅子)、折りたたみ式洗濯物干しなどをアパートの前に一時置き、2台のトラックは引越し先へと向かったのであった。そして、荷物をまたはしご車で引越し先のアパートのベランダから運び込み、残った荷物を取りに帰ったら・・・案の定というか、ガーデンセットと洗濯物干し、高そうな鉢植えは既に盗まれていたのであった・・・やはり、見張りを置いておくべきだったか。でも、人材もいなかったし、1時間以上あそこで待つのも無理だったし・・・まあ、諦めるしかない。もう疲れきって、怒る気にもならなかった。
というわけで、色々あったが、ダンボールを指定の場所に置いてもらい、分解した家具などは組み立ててくれ、奇跡的に夜の8時頃に引越しは終わった。何十箱ものダンボールに囲まれて脱力感であった。なんだか、この引越しのための準備から片付けまでの苦労で、3年分くらい年をとった気がしたものだ。
色々ハプニングはあったが、この引越し業者は、総合的に見れば、合格点であった。時間がかなり予定より超過したけれど、最後まで文句を言わず頑張ってくれたし、義姉の引越しの時にも紹介したが、評価が超辛口の義姉が満足していたから、かなり良い方なのだと思う。彼女も、他の業者に見積もりを取ったら、3000ユーロと言われたそうで、なんと、この業者の3倍の値段である。ご参考までに、一応下記にご紹介しておこう。
このアパートもまた5年で契約が切れる。次回はどうなることやら。
ΤΣΙΛΙΧΡΗΣΤΟΣ ΠΑΝΑΓΙΩΤΗΣ(ツィリフリストス パナヨティス)
TEL/FAX 210-5015271 携帯694-4622879